Vol.30 「ギャル」について
残念ながら(?)“ハプバー”では、(自分にかぎると)まだ一度も出会えたことはないのですが、ぼくは「ギャル」、もしくは「ギャル風な女性」が、わりと好きだったりします。そして、とある恋愛サイトが「ギャルのギャップ」に男性がときめく瞬間ってヤツを、9パターンに分類して紹介しておりました。
「9つもあるのか!?」ってことにまず驚きはしましたけど、とりあえずはそのズラリ羅列された「パターン」ってヤツをすべて紹介しておきましょう。
(1)すっぴんの姿を見たとき
(2)チラ見えした下着が白だったとき
(3)親に帰宅時間を連絡しているとき
(4)手料理がおいしかったとき
(5)言葉づかいが丁寧だったとき
(6)恥ずかしそうな素振りを見せたとき
(7)ヲタク系の趣味を持っていたとき
(8)お年寄りに親切だったとき
(9)仕事や勉強に一生懸命なとき
この「9パターン」は前出サイトの読者男性を対象に行なったアンケートをもとに抽出されたものらしいのですが、捉えようによっては、(ギャルにとって)ずいぶん失礼な調査結果ではありませんか!
「いったい、ちまたの男子たちはギャルに対して普段、どんなにスレた印象を持っているのかね」
……と、ついツッコミたくなってしまいます。
「ギャルは、黒や原色系の下着を好み、親に連絡一本もよこさず無断外泊も当たり前で、料理は一切せず、乱暴な言葉を使い、羞恥心のカケラもなく、一つの物事に執心する持久力に欠けており、目の前にお年寄りがいても優先座席に座ったままで、仕事も勉強も大嫌い」
……みたいな感じ? ちなみに、(1)の「すっぴんの姿を見たとき」の理由には、「ギャルはメイクをとると顔も性格も別人のようになるから、恋人がふたりいるような気分になる」「ギャルのすっぴんを見るのは、ハダカを見る行為に等しいレア感がある」なんてことが書かれていました。そこまで完全武装? 「美魔女」を自称するオネエさま方々だって、けっこう日夜盛りまくってますけど…? まったくもって、ひどい言い草であります。
しかしながら、『egg』をはじめとするさまざまなメディアを通じて、それなりに長い歴史をかけてつくり上げられてきた「社会一般の人たちがギャルに抱くネガティブな先入観」が、皮肉にも彼女らにとっては追い風になっている側面は、やはり否めません。
「学校中の嫌われ者である一匹狼的な不良男子が雨の中、傘もささずビショ濡れになりながら、段ボール箱に放置された捨て犬(もしくは猫)を『よしよし…かわいそうになぁ』と抱き上げているシーンを電柱の陰から覗き見して思わずキュンとしてしまうクラスメートの女子」
…という「少女漫画の鉄板エピソード」と同じロジックによって、たとえば肉じゃがをそこそこ美味しく料理できただけでも、ギャルの評価は非ギャルの何倍もアップするわけです。かくなる私も、まだギャルの黎明期であった30年近くも前、「某有名美大に在籍していたギャル」なるギャップに俄然萌えてしまった記憶があります(笑)。
こうした「ギャルへの、もはや根拠が薄い誹謗中傷」をイマドキのギャルタレントは「それって偏見ですよ!」と声を荒げつつも、どこかその“ギャップ”を俯瞰的な位置から楽しんでいる風にも私には見えるのです。そう! ギャルとは我々が考えている以上にしたたかで、合理的な発想を得意とするイキモノなのかもしれません。