Vol.64 マッチングアプリよりハプバーのほうが自然?
昨今、ネット上で(おもに)男女の出会いを演出してくださる「マッチングアプリ」の詐欺事件が多発している──そんな風な内容の特集を、とある朝の情報バラエティ番組が組んでおりました。
その常套的な手口の一つには、
「マッチングアプリで知り合って、何度かコミュニケーションを重ねていくごとに親密となった男が『今度一緒に旅行に行かない?』と誘ってきて、その代金を女性に振り込ませる」
…との類(たぐい)があるようで、もっか新型コロナショックの影響で日本のあちこちに緊急事態宣言が発令されている真っ只中であるにもかかわらず、
「沖縄旅行のワリカン分65000円だけで大丈夫だから!」
「たった50000円でオーストラリアに行けるツアーがあるから!」
…などと微妙なリアリティーを匂わせる額を提示しながら、女性が振り込み作業を終えたと同時に男は跡形もなくドロン、一切連絡も取れない状態となってしまう…らしいです。
しかも、その二人はスマホとかの端末でのやりとりだけで「一緒に旅行へ行こう!」と感極まるまで関係を温め、実際に会ったことは一度もないケースも珍しくはないといいます。
マッチングアプリを(現時点での)進化の頂点とする、電話やネットを媒介とした出会いのシステムは、一昔前だと
「ヤッているのが他人にバレたら恥ずかしい」
…的な“後ろめたさ”を誰しもが持っていました。でも、最近は
「ヤッてます!」
…と堂々公言する若い世代も増えていて、あと数年も経てば、下手すりゃ結婚式で司会者から
「お二人の出会いのきっかけはペ○ーズでした」
…なんて風な紹介をされても、全然当たり前な時代になっちゃうのかも…いや、すでにそうなっているのかもしれません。
アメリカでは、我々日本人には想像できないほど、マッチングアプリが“出会いのツール”として主流になっている…と、ニューヨーク帰りの女友だちが教えてくれました。
単純にアメリカは日本よりも物理的な面積が広いため、必然的に「直接会って〜」より「ネットを駆使して〜」恋愛を育むことが合理的かつ自然…なのだそう。さらに、アメリカで流行ったモノのほとんどは我が国でも時間差で流行る“追随の法則”が根強く生きているのであれば、そろそろマッチングアプリも、若い世代だけじゃなく幅広い年齢層がチャレンジする頃合いとなっている、すなわち「一般化」がここニッポンにおいても、ようやく社会認知されつつあるわけです。
とは言え、いくらなんでも
「一度も会ったことがない相手といきなり“宿泊”を前提とする旅行に行く」
…といった、その性急すぎる決断はどうなんでしょう?
「いざ対面してみたら“実物”が写真と全然違っていた」という可能性もある。「文字での会話だけじゃわからないお互いの間(ま)やリズム感が合わない」という可能性もある。そんな相手と共に過ごす数泊数日なんてえのは、まさに地獄ではありませんか!
だったらまだ、実際に会って、それどころかより濃密に肌まで合わせているぶん
「お二人の出会いのきっかけはハプバーでした」
…のほうがダントツに「あり得る」と思うのですが…? ただし、結婚式で司会者からそう紹介されるのは、別の意味で相当の勇気を要するんですけどね(笑)。