Vol.66 バブルおやじと間違えないで!
現在ちょうど還暦前後くらいの男性、つまりハタチ前後に“バブル前夜”を過ごした男性は、たとえば若い世代から
「バブルのときは派手に遊んだんでしょ?」
…なんて問われることが多く、そんなときはたいがい
「え~、そうでもないんだけど」
…と、戸惑いながらお茶を濁したりします。
なぜなら、ぼくも含むこの世代のけっこうな割合が、本当に
「たいしてオイシイ思いをしていない」
…からにほかなりません。
当時は、まだ「大学生起業家」みたいな存在が稀で、誰もが終身雇用を当然のごとく受け入れ、少しでも大きな企業に就職することを目指していました。
ゆえに、本格的なバブル時代に突入したころ、ぼくらはまだ入社3年程度のぺーぺーで、バブルの恩恵を謳歌していた「ちょっと上世代の諸先輩方々」がカネにあかしてハメを外しまくっていたさまを「いいなぁ…」と横目で眺めながら、ただ羨ましがっていただけの世代なのです。
たしかに「前夜」とはいえ、景気は間違いなく上向きでした。凡庸な人材が、今だと信じられないような有名企業にも続々採用されてもいました。
だけど、「オイシイ思い」の度合いが“帯に短しタスキに長し”状態だったせいか「あのころは良かった…」と懐古にひたることもなく、
「やっぱバブル就職組(一般的には1965~1969年生まれくらいを指す)のオッサンは使えねえな」
…と同僚や仕事仲間から陰口をたたかれることも、じつのところそうはなかったりもします。
いわば、ぼくら世代は団塊とバブルの狭間に置かれた「2番バッター」のような存在として、こうした「影の薄さ」と「バブルに乗り損ねた軽いコンプレックス」を逆手に取りながら、バブル崩壊後をぬるっと生き抜いてきたわけで、したがって意外に打たれ強く、その“暖簾に腕押し”的なしぶとさを持ち味としているのです。
だから、単に外見がおやじ風な男性を見て「バブルのころは散々楽しんだくせに…」などと安易に決めつけるのはよしてもらいたい。
ぼくらはただ、世代を超え、たとえば“ハプバー”を通じて皆さんと同じ喜怒哀楽を共有したいだけなのですから…。