Vol.712 詩人たるもの
おお……神よ
もし もしも あなたが
このニッポンにおいてなにか
我々が誇るべきものを
与えたもうなら
今後百年間
あなたの魂は
我々の心の中に
宿り続けるであろう。
こんな厳(おごそ)かチックな
「即興詩」
…が、とある都内ターミナル駅の構内にある
「男子公衆トイレ」
…の大便用個室の壁に
書かれており、あまりの完成度の高さに
つい(便器にしゃがみ下腿部までずり下ろした)
スポンのポッケからスマホを取り出し、
「写メ」
…しちゃいました。
(※なお余談ではありますが。「写メ」とは「写メール」の略語で、本来は「カメラ付きの携帯電話で撮影した画像ファイルを電子メールに転送して、送信したり受信したりする機能のこと」を指す。したがって「スマホなどのデバイスで写真や動画を撮る」という行為を「写メする」と呼称するのは間違いで、そもそも「写真を “メール” すること」自体、今ではほとんどないので、
とくに若い世代のあいだでは死語となりつつある…そうです)
最近の公衆トイレは
どこもキレイに管理されているため、
この手のラクガキが、
バンクシーの絵でもないかぎりw
そのまま
「保存」
…されているのは、むしろレアケースであり、
もしかすると、この詩の素晴らしさに感動した
清掃員の方が、あえて消さずに
残しておいたのかもしれません???
まあ、本当のところは
「たまたま消し忘れていただけ」
…でしょうけど(笑)。
ちなみに、正確なことを申すと、
「神」
…の部分は、
「紙」
…でありました。察するに、おそらく
「尻の穴に
こびりついた大便を
拭く紙(=トイレットペーパー)
が切れていた」
…あたりの緊迫した状況だったのではないでしょうか。
よくよく熟読してみたら…
「今後百年間」
…の「百」という数字の選択は
いささか安易な感じもしますし、
「心の中」
…というくだりも
表現に対する注意深さに欠けている
…ような気もしなくはありません。
でも、なにか…
「得体の知れない迫力」
…だけは、間違いなく伝わってくる。
「詩の創作」
…というのは、こういった
「内から湧き出てくる叫びを、
(できるかぎりの)洗練された言葉を
厳選してつなぎ、
再構築していく作業」
…なんだろうと思いました。
そして、そう「思って」からあらためて、
「自分もこの大便専用の
個室内で即興詩を
綴(つづ)ってみよう!」
…と、ウンチをウンウンとひり出しながら、
頭をウンウン悩ませてはみたんですけど…
あまり、大したものは
思い浮かびませんでした…。
どうやら、ぼくには
「その手の才能」
…が欠落しているようであって、
ちょっぴりしょんぼりしてしまいました(T . T)