Vol.835 挿入のプロセスを眼をカッと見開いて凝視し続ける女(後編)

(※「前編」から続く)
30年ほど前──Gジィさんが働いていた
某小売店で知り合った、
素晴らしい抽象絵画を描く
バイトで「ゲイ」のKくんは、ある日…
「ちょっと
会ってもらいたいヒトが
いるんだけど…」
…と、ぼくを新宿南口にあった
ロココ調な内装の喫茶店に、
いきなり誘ってきました。
その「ちょっと会ってもらいたいヒト」とは
当時Kくんが付き合っていたカレシであるらしく…
身長170センチそこそこで、
ほっそりとスマートな体型をしていて、
オシャレな洋服をセンス良く着こなす
彼とは一見まったくかけ離れた
「ゴワゴワの
防寒のみに特化した
ロシアの軍人みたいな
オーバーコートを羽織る
身長2メートル近くの
熊みたいな大男」
…でありまして、職業は、なんと!
「傭兵」!!
──1年の兵役を終え…
ちょうどアフリカから帰国したばかり…
とのことでした。

昔からどちらかと言えば…
「他人の職業には無関心」
…な傾向の強いぼくではありますが…
このときばかりは、さすがに
ひっくり返りそうになってしまいましたね。
「職業・傭兵」って!!!
この後、30年近くもの年月を経て
人一倍さまざまな人種との出会いを繰り返してきた
百戦錬磨なハズのGジィさんではありますが……
「傭兵」以上のインパクトがある職業のヒトと
出会ったことは、いまだありません。
(※ぼくのほうを手のひらで指しながら)
「彼…◯◯さん(※←Gジィさんの本名)!
今バイト先ですごく
お世話になっているヒトなんだ」
…と、傭兵のカレシに甲斐甲斐しく
ぼくを紹介してくれるKくん。
すると、その傭兵のカレシは満面の笑みで
「おお! そうですか!!
いつもありがとう!!!」
…と、フランクに握手を求めてきます。
ものすごい握力でした。
決して大袈裟ではなく…
腕がちぎれそうになりました。
「どこでなにをやっていたら、
こーいうヒトと巡り会えるのか?」
…は(いまだ)さっぱり見当もつかないのですが…
Kくんと仲睦まじく談笑を楽しんでいる
その傭兵のカレシは──時おり
どこに焦点が合っているのかが
ちっとも読めない……だがしかし
「(仕事として)人を
殺害したことがある」
…と言われてもまったく違和感のない…まるで
「ブラックホール」
…のような不気味な眼で
(たぶん)対面で座るぼくの方角を
ぼんやりと…ながら凝視してきます。
じつのところ…ぼくは
その「職業・傭兵のカレシ」と
酷似した目つきを
何度か別の場所で目撃したことがあるんです。
それはセックスの最中──しかも
クライマックスを迎えて
お互いが感極まっている
「挿入のシーン」
…であります。
その(何人かの)女性(たち)は
両眼を閉じることも
視線をそらすこともなく…
じ〜〜〜っと
「ヴァギナに挿(はい)った
ペニスのピストン運動」
…を、とろんとした…まさしく
「ブラックホール」のような眼で凝視しながら…
雄叫びに近い喘ぎ声をあげ、
快楽をとことんまで貪(むさぼ)っているのです。
そして、そんな彼女(ら)のセックスは
…一切の例外なく
「変態」
…だとかの瑣末(?)な概念を軽く飛び越えた、
「凄まじい集中力」
…に裏付けられた
濃密かつ極上な…
かけがえのない〝ソレ〟であり…
そのように奇跡レベルのエッチができる相手との
「運命的な出会い」
…を、死ぬまでに
あと一回だけでいいから果たしたい…と、
願いながら──今日も足繁く
…へと、通い詰め……
カウンタ席で虎視眈々と獲物を狙いながら…
…になりすましている
Gジィさんなのでありました。
(了)
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