Vol.46 「モテたい」願望を根源から見つめ直す
大半の男性が潜在下で(ときには、おおっぴらに)抱く「モテたい」願望について語る前に、ひとつ確認しておきたいことがあります。
みなさん、とくに中高年世代に差し掛かったあなたが言う「モテる」とは、はたしてどういう状態を指すのでしょうか。
バーとかで偶然隣り合わせた女性をお持ち帰りしたいのでしょうか?
セフレが欲しい、もしくは不倫がしたいのでしょうか?
それとも、若い女子とピンでディナーやディズニーランドに行けるだけで充分なのでしょうか? 「○○サンって渋いよね」と同僚の女性社員に噂されるだけで満足なのでしょうか?
つまり、対女性の究極的な二択に置き換えれば、
「上司にしたい男」と「抱かれてもいい上司」どっちになりたいのか?
…ってことなのです。
当然のこと、どちらを選ぶかによって戦略は180度変わってきます。仮に前者「上司にしたい男」になりたいなら「色気」や「セクシー」は時にマイナス要素として働くケースだって往々にしてあり得ます。まずは「モテる」の明確なビジョン、あなたが着地したい最終目的のイメージをきっちり具現化する作業から始めてみてはいかがでしょう。
たとえば、ぼくは現在還暦間際のお年ごろですが、50歳を越えたあたりからめっきりモテなったなぁ…と痛感するようになりました。40歳を超えたあたりでも「30代と比べたら…」みたいな一種の喪失感を抱いてはおりました。けれど、そのギャップの開きは40歳のときとは雲泥の差で大きいように思います。
とにかく「セックスまで持ち込める確率」がぐんと減っちゃったんですよ。最近は、お酒を飲めば午前0時を過ぎると途端に眠くなって、「エッチより睡眠」の意識が勝り、「口説く」という行為を途中放棄せざるを得なくなることも、しばしあったりして…。
体力と根気が衰えてきたんでしょうね。しかし、筋肉は野球でそこそこ鍛えているし、髪の毛も一応まだ残っている。多少酔ってもまだまだビンビンだし…。つまり、加齢による見た目や下半身機能低下のコンプレックスが、“攻めの姿勢”にブレーキをかけることも、現時点ではあまりありません。なのに、どうして…?
やはり、種の保存本能の一環として、メスは若いオスからタネを植えられたい性質がある──そういったようなことなのか…と不毛な自問自答を繰り返す毎日であって、これはすなわち、まだぼくは「抱かれてもいい上司」に未練がタラタラなわけです。
元殺し屋だった男が引退後、日本の片田舎にある秘境的な温泉宿に住み込みで働く…といった設定の名作漫画『湯けむりスナイパー』(実業之日本社)で、主人公の“源さん”は、70歳を越えて初バイアグラにチャレンジする老人男性客を見ながら、
「老いる…とは、それまで囚われていた<性>から遠ざかり安楽を得ることではないのか」
…との金言をつぶやいています。
そう。「<性>から遠ざかり安楽を得る」ということは、すなわち「自分の仕事や趣味に集中できる日々を獲得する」ことであり、その横に「性的な関係はなくとも、いつも寄り添えるパートナー」がいてくれたら…それはそれで素晴らしい“余生”なのではなかろうか…なんて風に達観できる日をひたすら待ち望んでいるのですが、その境地に到るまでは残念ながら、まだ少々時間がかかりそうです…。