Vol.117 40代のころ、60歳になったらやりたかったこと
お笑いコンビ『バイキング』の小峠英二さんが、とあるラジオ番組で
「60歳になったらやってみたいこと」
…を二つ、語っておりました。
一つは「タトゥーを入れる」。理由は
「50代はまだアレだけど、60になったらさすがに誰もなんも言わないだろうと。今はいつ脱ぐかわからないから」
…とのこと。
そして、もう一つは「育毛をやってみる」。理由は
「15年経ったら(=60になったら)薬(や施術)ももっと進化しているだろうから」
…なのだそう。
ぼくはまもなく還暦を迎える、いわゆる
「45歳の小峠さんが妄想する15年後」のまさしく間際の年ごろにいるわけですが、とりあえずは現時点でタトゥーを入れる予定も願望もなく、育毛は市販の発毛剤を塗る程度のことはやっています。
まあ、小峠さんが15年後にやりたいことをアラカンのぼくが実践していようがしていまいが、そこらへんはどーだっていい話なんですけど(笑)、そんな彼のトークを聞いていたら、
「ぼくが15年前の45歳あたりだったころ、はたしてぼくは60歳になったらなにをやりたい、どうなっていたいと考えていたのか?」
…が、やおら気になってしまったので、あらためて自身の記憶を手繰り寄せてみました。
まず、「タトゥーを入れたい」とチョッピリ似ているのかもしれませんが、ぼくはいささか出っ歯気味ゆえ
「歯を全部入れ替えたい」とは想っていました。
でも、一本一本「櫛(くし)の歯が抜ける」かのごとく、自歯がじわじわと抜け落ちていく昨今…図らずも総入れ歯状態になってしまう日もそう遠くない(のでは?)…と予測されます。多少の時期的な誤差こそあれ、その願いは
「皮肉にも…だが、かなった」と言ってよいでしょう。
あと、当時は昼夜逆転の日常をすごしていたので、「村上春樹みたく判で押したような記憶正しい生活をしてみたい」──それも、できれば「東京以外の京都か金沢か沖縄に移住して…」とも想っていました。
これに関しては、前者はほぼ実現できており、後者はまだ実現できていません。正直なところ、リモートワークが飛躍的に主流となりつつある近年、「移住」は決して不可能でもない…しかし、ぼくが所属している草野球チームが都内を中心に活動しているため、東京から離れるという選択に踏ん切ることができないのです。
しかも、ぼくのもう一つの「還暦になったら絶対にやりたいこと」が、「自分がエースで四番の俺様草野球チームの結成」であるからして、ますます「移住」はむずかしい。なんのツテもない異郷の地で一から草野球チームをつくるのって、途方もないコミュニケーション能力と体力が不可欠になってきますから。
……と、ここまでは比較的、具体性のある“かつてのプラン”ばかりを並べてみましたが、ぼくが“あのころ”真剣に考えていたのは、とにかく60歳くらいまでに
「性に対するリビドーから解放されたい」
…ということ、コレに尽きます! リビドーを原動力とする
「モテたい!」なる煩悩さえ完全に枯れ果ててくれたら…この半生では一度たりとも味わうことができなかった“永遠の安らぎ”のようなものを得られるに違いないし、“ハプバー”に心揺さぶられることも一切合切無くなるのでしょうが、まだまだそんな兆候は残念ながら
1ミリも見え隠れしていないので、この“目標”は70歳、古稀にまでスライドしておきましょう(笑)。