Vol.150 おじさんの金髪について
とある男性向き情報雑誌が運営するネットサイトが
「フリーランスの中(高)年男性は
なぜ突然金髪にするのか?」
…を分析する記事を配信しておりました。
お笑い芸人界にかぎっても『フットボールアワー』の岩尾望さん(46)、『スピードワゴン』の小沢一敬さん(48)、
小藪千豊さん(48)…“遅咲きデビュー組”としては
オール巨人さん(70)、ヨネスケさん(73)…あと、
ビートたけしさん(74)や松本人志さん(58)とかも今ではすっかり定着はしているものの、長い芸歴の途中から“イメチェン”を図った“後発組”です。
そして、そんな“金髪転向”の傾向は、芸人さんだけではなく、自分の名前や顔が武器になるクリエイター全般や経営者、会社の規則に縛られない、いわゆる「フリーランス」が大半を占めるカメラマンやスタイリスト…また、ITやベンチャー企業など“自由な社風”を売りにする業種にも広く浸透している…と、同記事は指摘します。
たしかに、こうした髪型に規制がない職に就く男性が、ある年齢を境に金髪を好むようになる気風は、ぼくも前々からわりとリアルに実感していました。また、その理由は唯ひとつで、
「金色という肌色に
近い色で薄毛を隠すため」
…だけだとばかり思っていました。実際、金髪は多少メンテナンスをサボってもブリーチだけでなんとかなったり、最悪プリンになってもさほど気にならない、セルフケアに労力をかけたくない男性にとっては格好のヘアカラーだと言います(※逆に吉川晃司さんチックなシルバーアッシュのほうが手間とお金がかかるのだそう)。
ところが! 同記事によると「中高年男性の金髪」には「薄毛隠し」以外にも、以下のような重要な主張が含まれている…のだそう。
・最新トレンドや業界の最前線モノを扱う手前、若く見えること、「永遠の年齢不詳」であることが仕事をするうえでのアドバンテージとなる(=「老害」と思われないためのイメージ戦略)
・「老化への抗い」を超えた「つまらない大人になることへの反抗意識」(=「アイツ、金髪のくせにつくっているモノがつまらないな」と思われないように…と、自分を追い詰める?)
・一般サラリーマン男性がおいそれとはできない金髪に、一種の“特権意識”的な優越感を抱いている
なるほど!「金髪」という記号には、こんなにもいろんなメッセージが託されていたのか…と、目からウロコが落ちましたよ。もちろんのこと、これらの言い分には納得できる部分もなくはなく、どんなかたちにせよ「エイジング」に対して真剣に向き合っているそういうヒトたちには、批判どころかむしろシンパシーさえ湧いてきます。
ただ、ぼくは現時点では比較的白髪も少なく、薄毛も髪型だけでどうにか誤魔化すことができているのだけれど、仮に数年後、頭髪がもっと切実な状態になったとしても、たぶん金髪にはしないでしょう。
もはや、この手の記事が成立するほどに金髪は「前例」が多すぎるゆえ、天邪鬼な私としては“それ以外”のアンチエイジングに、つい活路を見いだしたくなってしまうのです。
たとえば、ソーシャルダンスあたりを習い始めて、筋肉や姿勢といった「シルエットの若返り」を目指してみる…とか(笑)。ね?