Vol.164 「たぬきうどん」は関西には存在しない? - ハプニングバー

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Vol.164 「たぬきうどん」は関西には存在しない?

とあるランキング専門サイトが

 

『関東と関西「別もの」で

驚く食べ物ランキング』

 

…なるタイトルの記事を配信しておりました。

 

この手のランキングサイトの編集部に、日々はたしてどれくらいの記事作成ノルマが課せられているのかは知るよしもありませんが、「じつは高学歴なお笑い芸人ランキング」だとか「実家が農家の芸能人ランキング」だとか…よりは、こういった身近なあるあるネタのほうが、ぼく個人としては読んでいて楽しかったりします。ちなみに、ここ『アグリーアブル』の常連さんにも関西出身の方は案外多いと聞きますが、そんなあなたにとっても、けっこう腑に落ちるであろう

地域ギャップネタでもあります。

 

ってなわけで、さっそくその「TOP10」を見てみましょう。

 

1位:たぬき

2位:ぜんざい

3位:ねこまんま

4位:イカ焼き

5位:肉じゃが

6位:ところてん

7位:どん兵衛

8位:うなぎのかば焼き

9位:ひなあられ

10位:すき焼き

 

3位の「ねこまんま」(おもに、関東では「鰹節かけご飯」、関西では「みそ汁かけご飯」のことを指す)、4位の「イカ焼き」(おもに、関東では「イカの丸焼き」、関西では「阪神百貨店地下で売っているイカ入りのお好み焼き」のことを指す)にも、少なからず関東と関西の“認識の差”に驚きは隠せませんけど、もっともそのズレの幅が大きいのは、やはり1位の「たぬき」であります。

 

関西人のぼくにとって、「たぬきそば」とは「甘辛味の三角形のお揚げが乗っているそば」のこと──それはすなわち関東で言うところの「きつねそば」のことで、(原則として)

 

関西には「きつねそば」と

「たぬきうどん」は存在しない

 

…のです。

 

いっぽう、関東の「たぬき」とは、天ぷらのタネを抜いた「タネ抜け」が「たぬき」に転じた…いうのが通説となっており、天かすをふりかけたそばやうどんが「たぬきそそば」「たぬきうどん」と呼ばれています。

 

つまり、いささか曲解気味になってしまうんですが、関西は

「うどん⇄そば」といった反意語(的なもの)に

「きつね⇄たぬき」といった反意語(的なもの)をかぶせるという、いわゆるギャグによるネーミングを由来とし、対して関東は「タネ抜き→たぬき」という洒落によるネーミングを由来としているのが、関東人と関西人の気質の違いを端的に象徴していて面白い!

 

さらに、同じ関西でも京都だけは「味付けなしの薄揚げと九条ネギを細かく刻んで熱々のあんをかけたそば、もしくはうどん」を「たぬき」とする独自路線を貫いている点が、また興味深かったりもします。そう。畿内でも京都人だけは、いかにも関西人(正確には大阪人?)チックな「すぐギャグに走る」というお調子者っぽい感じに、いささか食傷している…のかもしれません。

 

…と、仮に今回のぼくの思考がたとえまったくの見当はずれな暴論へと突っ走ってしまっているとしても(笑)…こんなにもあれこれとした妄想を掻き立ててくださる非生産的なランキングは

 

「いつでも大歓迎!」

 

…なのでありました。