Vol.175 恋人や配偶者の呼び名について
タレントのマツコ・デラックスさんが、とあるトークバラエティ番組で
「恋人や配偶者などの呼び方」
…について私見を述べておりました。
たしかに、じつにデリケイトな問題であって、ぼくもこのコラムで既婚者の方々について執筆するときなんかは、“そこ”で
「なんて書けばいいのやら…?」
…と、ついキーボードを打つ手が止まってしまいがちな、いまだ完璧な“正解”が導き出されていない未解決な事案でもあります。
たとえば、自分の配偶者のことを語るならば、「旦那(ダンナ)」や「嫁(ヨメ)」だと「いささか下品な響きがある」という声もよく耳にするので、「夫」と「妻」が、まあ正解でしょう。
しかし、やっかいなのは第二者・第三者の配偶者のことを呼ぶ場合──とくに目上である相手の配偶者を「◯◯さんの夫」「◯◯さんの妻」と呼ぶには、この呼び捨て感に若干の躊躇が生じてしまうのです。かといって「夫様」「妻様」だと、やはり少々の“やりすぎ感”、
二重敬語的な不自然さは否めない…。じゃあ、どーすりゃいいの???
同番組のアシスタントを務める某女子アナさんは、他人の配偶者に関しては「ご主人様」「旦那様」と呼ぶことを明かしていました。そして、マツコさんは彼女に
「アナウンサーなんだから正しい言葉教えてよ! 私たちずっと悩んでんのよ、今これ。『ご主人』って言うと『男尊女卑主義者なのねっ!』みたいなさ…」
…と、泣きを入れつつ、
「だから『奥様』『ご主人』の元々の意味をもう捨てない?」
「本当の意味合いの主従関係を主として使ってるわけじゃないじゃない? みんな、もう。なんの思いもなく『ご主人、元気?』とかって聞くわけじゃない?」
……との提案をなされておりました。
もし、そうしていただけるなら、ぼくもマジでありがたいと思います。
「この議論にかぎらず、今、言葉をみんな気をつけなければいけないのは、一部のそれをすごくイヤだと思っている人たちによる指摘なわけよね…」
…ともマツコさんは分析しますが、そういう「一部のそれをすごくイヤだと思っている人たち」が「それ」を許してくださるなら…文筆作業における一つの大きな難題、さらには、ここ“ハプバー”において既婚者(であることをカミングアウトしている人たち)の内情を会話のネタにする際の悩みがすんなりと解決するのです。なんなら「ご主人」「奥様」を使用するその都度その都度ごとに、
(※元々の意味を100%
捨てたうえでの表現です。
ご容赦ください)
…みたいな風の注釈を入れたってかまいません。
この日のオンエア中、視聴者のお一人から
「最近、気になっているのが
付き合っている相手を
『相方』と呼ぶ風潮です」
…という意見も届き、それを聞いてマツコさんは
「すごいアタシも苦手! アレ」
…と、一刀両断! 関西人が「連れ」と呼ぶケースも含め、私もまったくもって同感です。
もっと言わせていただくなら「相方」や「連れ」をカタカナ語(=英語)でマイルドにした「パートナー」にも、正直なところ
そのファジーなイメージに奥歯に物が挟まったかのような違和感を感じてしまいます。ただし、「恋人」と「夫婦」との中間的な関係──仮に「同棲しているカップル」とかだと、「パートナー」もアリな気はするのですが…いかがでしょう?