Vol.184 ワカメしゃぶしゃぶの最終形態
以前、ツイッターだか、なにかのテレビ番組だかは忘れましたが、こんな論争が、にわか盛り上がっていた…記憶があります。
「あなたは市販の
カレールーに隠し味を
入れる派? 入れない派?」
「入れる派」の人々はトマトやらチョコレートやら赤ワインやらウイスキーやら生姜(のチューブ)やらタバスコやら醤油やらミルクやら……などの秘伝の隠し味を「絶対に美味いから!」と激オシしており、いっぽうの「入れない派」の言い分は「メーカーが試行錯誤を重ねて商品化したルーこそが一番美味しいはず!」というものであり、もちろんのこと、どっちかの派がどっちかの派を完膚なきまで叩きのめすような殺伐とした対立の雰囲気では決してなく、おたがいの派の主張を「それはそれでアリだよね」と尊重し合う、なかなかにほのぼのしいやりとりでありました。
ちなみに、ぼくは典型的な前者の「入れる派」であって、「隠し味」と銘打たれる物体はとにかくなんでもかんでもブチこみ、もはや原型をとどめないほどの別の料理へと
カスタムアップしてしまうタイプの人間だったりします。
そして、ぼくみたいな加算型の人間が料理をする際、けっこうヤラかしてしまいがちなのが、以下に述べる変体のパターンです。
最近、1パック100円ちょっと…と格安で新鮮な生ワカメを購入し、究極のシンプル料理「ワカメのしゃぶしゃぶ」をつくってみました。生ワカメならではのシャキシャキ感がじつに絶品で、大満足の味わいでした。シン・ゴジラ調に言えば
「第一形態」ってヤツであります。
しかし、欲が深いタチのぼくは「せめて野菜は摂取したいよね」ってことで、それに白菜を足すことに。「第二形態」であります。
次に、「豆腐だったら入れても味に影響はないよね」ってことで、
絹ごし豆腐と白長ネギも…。この時点で「究極のシンプル料理」は単なる「湯豆腐」へと「第三形態」化します。
さらに、モノが捨てられないタチのぼくは、そのワカメの滋味をたっぷりと吸い込んだスープを一日寝かせ、「コイツに魚を入れるとむっちゃ重厚な出汁が取れるよね」と、翌日に真鯛とタラとサワラの切り身…それに、エノキ茸とマロニーも投入し、塩で味付けすます。「第四形態」は「魚介の潮鍋」!
さらに、さらに! 「ついでに牡蠣も入れちゃおっか」「でも、塩味じゃあ牡蠣の味に負けたうそうだから味噌で味付けしちゃえ」…ってことになって、結局はイワシのつみれや鶏肉だんごや
ニラやごぼう…隠し味にはバターと豆板醤を…なんてことになって、結局のところは「味噌ちゃんこ鍋」という名の「最終形態」が誕生したのです。(※〆にラーメンを入れたら「海鮮味噌ラーメン」!?)
さて。今回のこの心底どーだっていい話を最後まで長々と読んでくださった読者の皆さまには感謝の気持ちしかありませんが、ぼくはぼくのこーいう
「ゴールを先延ばししがちな
ウジウジしたキャラ」
…が、案外嫌いじゃなかったりします。はい、マジどーだっていいですね(笑)?
「生ワカメ」に「しゃぶしゃぶ」と、どこか淫猥な響きのあるタームが連続するタイトルしたが、ただの食い物ネタで、本当にすみませんm(__)m