Vol.187 ジジイが遊ぶ?
とある中高年男性向けのライフスタイル情報誌が運営する公式ネットサイトが、現在好評放映中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でもイイ味を出している俳優の佐藤浩市さん(61)のインタビュー記事を配信しておりました。
タイトルは
「ジジイたちの遊んでる姿が
同世代や若い世代の
刺激になればいい」
…で、表紙写真にはご本人がハットとサングラスでキメた、いかにもモテそうな程良く枯れたジェントルマン風のモノクロ写真が!? まさしく万人が求めている(に違いない)
理想の年(とし)の取り方の一つの好例だと言えましょう。
昨年末には、キャリア初となるヴォーカル・アルバム『役者唄 60 ALIVE』をリリースしたらしい。そんな攻めの姿勢を「60歳」を過ぎても今なお崩さない佐藤浩市さんは、
「今日だって、この撮影の前に、宇崎(竜童)さんと木梨(憲武)、中井(貴一)と歌ってきたよ。みんなジジイだし、馬鹿だなって思いつつも、そういう面白さが伝わってくれればいい。こんなジジイたちが遊んでるんだなって。それが同世代に対しても、若い世代に対しても刺激になればいいんじゃないのかな」
…と同インタビューを〆ています。
「ジジイが遊ぶ」──じつに素敵なキーワードだと思いました。じつはぼくとほぼ同世代だったりする佐藤さんが、自身のことを「オッサン」どころか「ジジイ」と形容できる、その
潔さの境地にはまだぼくは到っていませんけど…まあ、佐藤浩市さんクラスのイケてる熟年大物俳優なら、逆にそう言い切ってしまうことにも躊躇がなくなるのかもしれません。
もちろんのこと、このぼくだって「加齢を重ねる自分のライフスタイルが同世代や若い世代の刺激になる」くらいの充実した毎日を送れたらうれしいな……とは常々願っています。
温泉ソムリエの資格でも取って(コロナ禍が収束したら)全国の名湯や秘湯を巡るのもいいでしょう。草野球で一生に一度だけでもホームランが打てるように筋トレに励みバッティングフォームを大胆に改造するのもいいでしょう。魚屋で買った新鮮な魚を捌き食卓を飾るのも悪くない。その行為がなんであれ
「心底から楽しんでいる」ということが、まずはポイントなのだから…。
だがしかし! よりいっそう「同世代や若い世代の刺激になる」…あと一歩踏み込んだ表現をするならば
「同世代や若い世代に
本気で羨ましがってもらう」
…ための一番の“チャレンジ”とは──やはりぼくは「ジジイになっても一人の魅力的な女性を真剣に他のライバル男性から奪い取ろうと企む」みたいな「現役感」という名の
大人げなさを示すことだと考えます。
たとえば、若い小僧どもがバーあたりで束になって口説きに入っている妙齢のレディを、「じゃあ、そろそろ…」と連れ出したりできたら、もう完璧。
ここ“ハプバー”で
小僧どもには真似できないパフォーマンスを披露し、女子をトロトロにさせてしまうのもアリでしょう。
合コンで周囲の小僧どもを姑息な手段で出し抜こうと、
必死のパッチでお目当ての女子を眼前にして見苦しく競い合うのも、もちろんアリ! さらに、万が一その争いに敗れ、ものの見事に“ライバル”がお持ち帰りを果たしたさまを横目で見ながら、悔しさのあまり路地裏にあるゴミ箱を蹴り倒すのも、
また一興…。
とにかく「土俵に立つこと」が大事なわけで、そして、こうしたジジイの背中からかもし出る敗残の美学もまた、きっと同世代や若い世代の心に響くエレジーなのです。