Vol.210 「筋肉」について
芸能リポーターの井上公造さんが、とある情報バラエティ番組でに出演した際、今年の春をもって取材の第一線から退くことを、2011年8月に芸能界を引退した島田紳助さんに報告していたことを明かしておりました。
紳助さんとは『クイズ・ヘキサゴン』への出演がきっかけで親交を深めたという井上さん。そして、報告のとき…紳助さんは
「やっと仲間になれるね」
…などと井上さんを労(ねぎら)ったのち、リタイアの先輩からのアドバイスとして
「リタイア後の人生を楽しむポイント」
…に、
「お金」「友達」「筋肉」
…の3つを挙げ、その理由として、
「お金はそこそこあったほうが当然いい。でも、遊ぶ友達がいないと楽しくない。もう一つは健康。『筋肉は裏切らない。筋肉をつけろ』ということを強調されていた」
…のだそう。
一分の隙(すき)、ツッコミどころもない「リタイア」云々を抜きにした、じつに素晴らしい金言ではありませんか!
「お金・友達・筋肉」…と、まず語呂がすごくいい。
音感としては完璧です。しかも、気を衒(てら)ったわけでもない、内容としては王道のアドバイスでもあります。
だが、仮にこれが「お金・友達・健康」だったらどうでしょう。あまりにも「王道」っていうか当たり前すぎて、おそらく井上さんも
「はいはい、ですよね〜」
…と、脳裏にもこびりつかないまま、あっさりスルー
してしまっていたのではないでしょうか?
「お金」「友達」といった、一歩間違えたらどこにでもいそうな説教好きのおっさんでも口にしかねない“2つ”の次に
「筋肉」という、「健康」よりはやや限定的にダウンサイジングされた、こころなし突飛な(=でも突飛すぎない)響きのあるワードを持ってきたことによって、良い意味での違和感が生じ、それが
絶妙なフックとなっています。
さらに、
「筋肉は裏切らない」
…というのも、かなり「健康」の本質を突いた極言だとぼくは思います。
どんなに「健康」に気を遣っていても、大病を患ってしまうときは患ってしまう──いっぽうの「筋肉」は(正しく)鍛えれば鍛えるほど、何歳になっても確実に良質なものへと育っていく…。たとえば、足の「筋肉」がとことんまで衰えてしまったらラジオ体操はおろか散歩すらできないし、ひいてはその絶望的な運動不足がすべての「健康」へと影響して……。そう!
人間の肉体的な加齢は足からくる
…のです。
ぼくは70歳、いや80歳になるまで草野球を楽しみたいので、そのために今年からこれまで封印していたスポーツジム通いを解禁することにしました。そして、できれば「筋肉」をもっとつけて、まだ生涯で一度も経験したことのないホームランを打ってみたい…。
毎試合ごとに払わなければならないグラウンド代や審判代(を敵味方18人〜で割った)500円〜1000円くらいを払う「お金」は、さすがにあります。「チームメイト」という名の「友達」もいる…けれど、「お金を使って友達と遊ぶ」ための、もしくはここ“ハプバー”において
ハッスルできるだけの「筋肉」がなければ、そのすべては
宝の持ちぐされでしかないのですから…。