Vol.216 「遅刻」について - ハプニングバー

来店
予告
ColumnGジィさんの独り言
 

Vol.216 「遅刻」について

お笑いコンビ『極楽とんぼ』の加藤浩次さんが、とあるトーク番組で

 

「人生が終わった…と感じた瞬間」

 

…について告白しておりました。

 

なんでも加藤さんはまだ若いころ、けっこうな遅刻癖があって、過去にTBS系の帯番組だった『はなまるマーケット』に、寝坊のせいで大遅刻してしまったことがあった…のだそう。起きてパッとテレビをつけたら、司会の薬丸(裕英)さんが「本日、まだ加藤くんが来てません」と現状を説明しており、そのとき加藤さんは、

 

「ああ…オレの人生、終わったな」

 

…と思い耽り、

 

「一本のタバコに火をつけた」

 

…と言います。

 

ここまでの加藤さんのやらかし話を聞いた直後、同番組に共演していたお笑いコンビ『サバンナ』の高橋茂雄さんは、

 

「早う行かんかい!」

 

…と神がかったタイミングでツッコミを入れ周囲を笑わせていましたが、ぼくはこの加藤のエピソードを聞いて、猛烈なる共感をおぼえました。うん、ぼくもたぶん大遅刻したら同じことをしていただろうな…と。いや、実際にしたことがあります。

 

もう10年以上も前、高知県の某所に出張の日──朝一番にぼくのケータイ(=ガラケー)がガンガンと鳴りまくる。前日、午前5時まで飲んでいたぼくは(おそらく10度目くらいの着信音でようやく目が覚め、留守電を確認したら、

 

「今どこですか!? 

飛行機、

あと◯分で出発しちゃいますよ!」

 

…と、この日に同行予定だったクライアント様の、「あと◯分」の◯部分を5分刻みにカウントダウンした、悲壮感あふれるメッセージがいくつも入っている。時間を見たら、飛行機の離陸時間まであと10分…。空港に住んでいたとしても間に合うか間に合わないかギリギリの絶望的な失態であります。もちろんのこと、飲み過ぎてたとえばここ『アグリーアブル』のイベント『フェチナイト』に行きそびれてしまったときなんかの比じゃありません。

 

そんなとき、ぼくはどうしたか? そう!

 

「人生終わったな…」

 

…と、呆然と空を見ながらつぶやき、そして…一本のタバコに火をつけた。

 

こんなとき…ヒトはパニックとなり、一体なにをすればいいのか、なにから手をつけるべきなのか…がわからなくなってしまうのです。だから、とりあえずはタバコを一本吸って、

 

「遅刻の言い訳はどうしよう?」

 

「エアーの高知便って、

一日にどれくらいあるの?」

 

「当日予約はできるの? 

値段はいくら?」

 

「そもそも、これから急いで

高知に行っても、仕事に間に合うの?」

 

…モロモロ、徐々に頭を整理しながら、気を落ち着かせる

しかないのであります。結局のところは、クライアント様が高知空港に到着するころに、

 

「前日から風邪っぽくて

体調が悪く、

寝坊してしまいました。

でも、もう大丈夫です」

 

…とだけ言い訳して、その後はクライアント様の指示を仰ぐことにしました。当然のこと、クライアント様はぼくのそんな苦しい言い訳をすべて鵜呑みするはずもなく、(電話口で)半分キレ気味な口調で

 

「もう来なくて大丈夫です。

どうにかしますから」

 

…と捨て台詞を吐かれ、事無きを得たのですが(※全然、事無きは得ていないのですがw)、その後、その編集者から仕事が来ることは二度とありませんでした。

 

50代になったあたりからは、どんなに前日飲みすぎても朝6時には必ず目が覚め、朝4時半起床の早朝草野球のときでも、スマホのアラームが鳴る前にその設定時間をOFFにするのがお約束となりつつあるぼくは、もはや寝坊で遅刻することは、まずあり得ない。さらには

駅ネットなどの一般化によって、この数年は大幅な遅刻をしたこともない…。

 

それはそれで「悪くないこと」であるのに間違いはないんですけど、若さゆえの

 

「大寝坊→大遅刻」

 

…といった、ヒリヒリとしたあの感覚をもう一度だけ体感してみたい……といった想いを、ふとよぎらせてしまうのは、やはり

不謹慎…なんですかね? ハイ! 不謹慎です!!