Vol.283 男女交際はリスク?
2ヶ月弱ほど前に内閣府が公表した『男女共同参画白書 令和4年版』の「特集編 人生100年時代における結婚と家族〜家族の姿の変化と課題にどう向き合うか〜」にあった
「20代男性の約4割が
デート経験がない」
…という衝撃の調査結果を受け、さまざまなメディアで幾人もの識者の方々が「イマドキの若者のリアルな恋愛観」に
ついて、分析をなされています。
たとえば某週刊誌系のWEBメディアの取材に応えていた、若者心理に詳しい大学教授さんは、記事中で以下のようなことを語っておりました。
「いい子症候群」の典型となる今の若者たちは、「相手が自分をどう思っているか」を気にしすぎるところがある。決して恋人が欲しくないわけではないが、自分に向けられる感情を恐れるあまり、「恋愛は精神の安定を乱す不安要素」として敬遠する。
たとえば、レンタカーを借りてドライブしても、「うわ、道を間違えちゃった。きっと今“この人大丈夫?”って思われてる」などと事あるごとに相手の気持ちを考えて消耗してしまう。(中略)不安が行動を支配するため、提案もできなくなる。そうなるとデートも成立しません。
つまり、
「デートを“不安要素”と判断し、
想い出づくりよりも
リスク回避を優先する」
…がゆえ、デートはおろか異性と関係することさえも拒絶し、スポーツや趣味や仕事へと逃避するという理屈であります。
もしかすると、一夜限りの関係を前提とするここ“ハプバー”に脚繁く通う若人(わこうど)の方々にも、そういうタイプは一部実在するのかもしれません。
つい近日の話、そこそこしゅっとしていて爽やかな20代男子と
『大阪王将』でレモンサワー片手に餃子を食べていると、その彼がけっこうな真顔で
「モテるって…
面倒臭くありません?」
…と、いきなり愚痴りだしました。そのときは、
「コイツは
なにをわけのわからないことを
言っているんだ?
頭おかしいんじゃないか!?」
…としか思わなかったので、
「ふ〜ん…そーいうもんなのかね?」
…みたいな適当な返事で誤魔化しておしまい…だったのですが、なるほど! コレは我々オッサンに婉曲的なモテ自慢をしているわけでもなく、たまたまカノジョに浮気がバレて途方に暮れていたわけでもなく、前出の大学教授さんがおっしゃるところの「いい子症候群」を患い、「デートをリスク」と見なす好例的なヤングでしかなかった…ってことなのでしょうか???
かくなるぼくも、50代半ばを過ぎたあたりから、女性とディナーとかまでこぎつけたはいいものの、そこから「あと一歩」を踏み出すのが、明らかに億劫となってきました。
「今日は、お泊まりしちゃう?」
…なんて誘って、
「そんなつもりじゃなかったのに!」
…と嫌われるのが怖くてたまらないし、仮に「お泊まり」は受け入れてもらえたとしても、ディナー中の過剰飲酒が原因で
使いモノにならなかった場合の気まずさもキツい。
だったら、「ハイリスク・ハイリターン」なんぞ望まず、分相応に(?)サクッと終電までにデートを完結させ
「余裕たっぷりのいいおじさん」とインプリントしてもらうか、“ハプバー”で割り切った関係に徹しているほうが長い目で見てベターなのでは…と、そんな風に考えるようになってしまったのです。
こうした慎重さを「正解」とすべきのか、それとも
「強引さに欠ける」と自己批判すべきなのか……今のぼくにはジャッジできません。
が、「決して恋人が欲しくないわけではない」のなら、せめて
「デート童貞」という、すぐにでも割れそうな薄い殻を破るくらいのパワー程度は持ち合わせてもかまわないのではないでしょうか。