Vol.482 キャバクラに行くならハプバーに来い!?
とある、私の友人である某不動産会社に勤務する
43歳の既婚男性・Tさんから、
けっこう切実な口調で、次のようなお悩み相談を受けました。
まあ聞いてください。
1ヵ月前、お得意さまの接待で行ったキャバクラで知り合った
24歳の女性に人目惚れしてしまいました。
彼女は現在、昼の仕事を辞めて、週6回そのお店で働いているらしく、北海道出身の一人暮らしで、彼氏いない歴は3ヵ月とのこと。
以降、5度ほど一人で通い詰めて、
先日ようやく同伴の約束を取り付けたのですが、
アフターや休日の店外デートは「その日はちょっと…」と、
いつもやんわりかわされてしまいます。
やっぱり僕は“都合の良い客”としか
見なされていないのでしょうか?
ぼくは、「キャバクラ」というサービス形式のスポットには(地方出張のとき以外は)滅多に行きません。理由は簡単で、
「オイシイ思い」
…をした成功(性交?)体験がほとんどないからです。
次から次へと
「アタシもドリンクいいですかぁ?」
…と、半強制的にカシス系の弱いお酒を注文され、調子こいて15分とか30分とかチビチビ延長延長…していたら、いつの間にかお会計が2万にも3万にもなっていて…。
そりゃあ、その対価としてLINE交換くらいはできたりもしますよ。けれど、いくらラブラブなメッセージを送っても返ってくるのは、
「いたずらに
ハートマークだけが多い、
ぼくの名前以外は
他の客にも送る
サンプルメールを
コピペした風の文面」
…ばかり(泣)。いやいやかたじけない、つい愚痴っぽくなってしまいました。
とにかく! キャバクラには
「今後への発展性」
…がカケラも見えてこないのです。取り急ぎは、同じ金額を
突っ込むなら、
「デリヘル嬢を呼んで
個室状態の自分の部屋かラブホで
イチャイチャしながら
口説くほうが
可能性もコスパも高いでしょ!?」
…と、Gジィさんのポリシーを彼にはだと申し伝えておきました。最悪、トークが不調に終わっても、風俗なら「保険」があるわけですし…ね?
ハッキリ言ってしまえば、Tさんのケースは、
「典型的なカモ」
…でしかありません。なんせ、敵は「週6」お店に入っている筋金入りのキャバ嬢ですから。彼女にとっては、
「同伴してから
お店に直行パターン」
…がベストなのであり、アフターや店外デートは極力避けつつ、休めるときには身体を休め、爆睡したり、部屋の掃除や溜まった洗濯をしたり、スーパー銭湯に行ったり、ペットとじゃれ合ったり、本命彼氏とDVD鑑賞したいだけ…なのが見え見え。
あえて例えるなら、
「年に数度しかグラウンドに立たない草野球おじさんが、毎日基礎連をこなしている高校球児に無謀な試合を挑んでいるようなもの」
…なのです。それにしても、(他人事として聞いていると)ここまで状況が劣勢であるにもかかわらず、なぜ世の男性どもは、懲りずにすぐおミズのおねえさんにガチ恋してしまうのでしょう…?
ぼくの友人である脳神経外科医の先生は、こう語ります。
人間とは、結局のところ永遠に
「マウンティング」
…の繰り返し──動物的な本能として、生き残るためには
「Aさんよりも自分は優秀で〜」
…みたいな考え方をせざるを得ない…とのこと。
しかも、我々おじさんはハンパに
「経験による裏付け」
…があるため、(普通に生きていれば)社会的評価や立場もそれなりに固まってきており、マウンティングのテクニックにも長けてくるものです。
でも、こと男女の色恋沙汰にかぎれば、そういうおじさんでも百選錬磨な女性相手だと
「フルぼっこ」
…にされるケースも十分にあるわけで、
相手を自分主導でコントロールできなくなってしまいます。ゆえに、原則として
「教えたがり」
…である年輩男性の皆さんは、
「え〜、すごーい!」
…の一声が聞きたくて、一見言いくるめやすそうな若い女性になびきがちなのかもしれません。
社会学者でキャバクラ嬢とセクシー女優をやっていたこともある
鈴木涼美さんも、なにかの対談でこう述べていました。
「すごーい!」は
キャバ嬢が一番よく使う言葉で、
なんだかんだ言って、
男性が一番喜ぶ言葉でもある
…と。はい、じつに名言でありますね。
「すごーい!」は、
もっとも代表的な
マウンティングのリアクション
…すなわち「記号」だということです。
そして、それを若いみそらで、いっそう
「ナチュラルかつ
計算尽くに
有効利用できる」
…のが彼女たち、おミズのおねえさんなのではないでしょうか。水商売の女性は店内だと
「メタ認知」
…がフル活動する。ぼくが思うに、水商売の女性っていうのは
「ドラクエのラスボス」
…のような存在で最強なんです。檜の棒で向かっていっても
瞬殺ですよ(笑)! いわば
「コミュニケーションの
プロフェッショナル」
…なわけで、我々が想い描く稚拙な下心なんて、
物の見事に予測されてしまいます。
「人生経験の長さで比べれば、
若いおミズ女子より、
下手すりゃあ
彼女たちの倍以上
長く生きている
我々おじさんのほうに
分があるのでは???」
…と、反論したくなる気持ちもわからなくはありません。
しかしながら、彼女たちはそれこそ
「毎日、疑似恋愛を
繰り返している」
…わけですよね? 対して、我々シロウトは
「一生で恋愛できる機会」
…なんて数えきれるほどしかありません。
「踏んでいる場数が
一桁も二桁も違う」
…んです。
おミズのおねえさんは、お店だとあくまで「ジョブ」として男性と向き合っています。極論すれば、
対象が「人」ではなく「物」に近い
…ため、自分の思考や行動・性格などを別の立場から見る「メタ認知」が超高速回転するので、
「こう対応したら
ああ来るだろうな」
…という「ゲームの流れ」を
俯瞰値で眺めることができるのです。
そのいっぽうで、我々男性は、こういう認知心理学の
基礎パターンのなかで弄ばれつつ心を掻き乱され、
「この子しかいない!」
…とハマっていくわけです。まさに敵にとっては、
「赤子の手を捻る」
…ようなもの。結論を申せば、
「勝てない勝負はするな!」
…ということ。さらには、
「キャバクラに行く金が
あるなら“ハプバー”に行け!」
…ということなのです。だって、“ハプバー”だと、仮に海千山千の女性常連客に適当なあしらいをされた挙げ句、その日は
「釣果ゼロ!」
…という残念な結果に終わったとしても、
さまざまなスリリング極まりない非日常的光景を目の当たりにすることだってできるのですから!?