Vol.538 ハプバーでもバキバキのカラダな男が必ずモテるとはかぎらない?
人気お笑いトリオ『ダチョウ倶楽部』の上島竜兵さんが
享年62歳でお亡くなりになって、はや1年少々──ぼくは
一度、とある仕事で上島さんにお会いしたことがあるのですが、
ホンの1時間程度お話ししただけなので、この
「上島竜兵」
…なる人物が実際はどんな性格で、どういう思考性の
持ち主だったのかは、よくわかりません。
ただ、(仕事上で)あらゆる無茶なリクエストにも
気さくに応じてくださる、とにかく
「サービス精神の旺盛な人」
…ではありました。
決して社交辞令でも帳尻合わせでもなく、
ぼくはけっこうな昔──
『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』
…にご出演なされていたころからの、生粋たる
『ダチョウ倶楽部』の大ファンだったりします。
「好きなお笑い芸人は?」
…と問われたら、公私ともども(?)毎度
「ダチョウ倶楽部!」
…と、淀みなく即答し続けてきました。
上島さんの名言の一つに
「笑わせてるんじゃねえよ!
笑われてるんだよ!」
…っていうのがあります。昨今、お笑い芸人の誰もが
「笑わせること」
──すなわちネタの斬れ味やトークでの反射神経を前面に押し出す風潮が主流となりつつあるさなか、
「笑いが取れるかどうかの一要素として体つきっていうのはあるよね。この体つきね。(自分のお腹を叩いて見せて)典型的な芸人はコレね」
「リアクション芸人がトーク上手くなったら終わりだよ」
…と、ひたすら
「笑われること」
…を追求し続けた芸人さんは大変に貴重な存在であり、ぼくは『ダチョウ倶楽部』のそんなブレない姿勢が大好きだったし、
「頭のいい人しか書けなさそう」
…とイメージされがちな、『アグリーアブル』ホームページの
コラム執筆という作業をこなしながらも、
じつのところはあんまし頭は良くないGジィさんからすれば、
『ダチョウ倶楽部』の不器用なまでに
「泥臭いシンプルな芸風」
…に、ささやかな勇気を与えられていたものでありました。
いや、真剣に!
もちろん、ここ“ハプバー”でも、合理的に最短距離を行く
ツールや理論で鍛え抜いたバキバキな肉体の持ち主である
男性が、必ずしもイイ想い(=女子にモテる)が
できるとはかぎりません。
油断と怠惰に満ち溢れた、つい笑いさえ込み上げてきそうな
緩みきったボテボテの腹がかもし出す特有の愛嬌に
忌憚のない魅力を見いだす女性だって、少なからず実在する(はずな)のです。
上島さんの自著である
『人生他力本願〜誰かに頼りながら生きる49の方法〜』(河出書房)
…に書きしるした名言の数々として、
「刺身のツマになれば出番が無くなることはない」
「後輩だろうと才能のあるヤツには頭を下げる」
「どんなに芸風が『ヨゴレ』でも心は『ヨゴレ』ない」
「意味がなくてもやり続ければ意味が出てくるはず」
…などがありますが、
ぼくもこれらの「格言」すべてを深く胸に刻み、
「意味のないことに
意味が生じる」
…まで、残り少ない“ハプバー”人生を、あまり頑張りすぎずに精進したい…と考えております。
あらためて心よりご冥福をお祈りします。