Vol.563 アグリーアブルのコラムが毎日生まれる喫茶店
店内に入ってくる客一人ひとりに、店員さんが
「ウチは全席喫煙席です!」
…と、いちいちお断りを入れてくだる、
恵比寿にある某喫茶店
『ルノ◯ール』
…は、Gジィさんにとっての「書斎」でもあり「職場」でもあり「第二の家」でもあり、多少大袈裟に申せば
「聖地(サンクチュアリ)」
…であります。
今日も朝の8時からここに「出勤」し、
丸型のカウンター席の一番端をキープして、
この『アグリーアブル』のコラムを
しこしこと書いて(打って)います。
BGMはモーツアルトやバッハやヨハン・シュトラウス…などの
「無難な室内楽クラシック」
…で、ボリュームは大きすぎず小さすぎずの
絶妙なバランス…。
カウンターテーブルに沿ってアール型にカーブする後方の
大きな窓からは横断歩道が見え、執筆に行き詰まったら、
ぼくは新しいたばこに火をつけ、信号が青になるごとに
忙しなく歩く人たちを眺め、気分転換をします。
そこで尋常じゃないボディバランスのモデルみたいな
おねえさんや、胸の谷間をこれでもかと強調したり
ヘソを出したりしている激しく露出したファッションの
おねえさんを発見したら…(※恵比寿ではこーいうおねえさんとわりに高い頻度で出くわすことができます)、なんとなく
「今日一日…
なんとなく得した気分」
…になり、「仕事への活力」が
漲(みなぎ)ってくるのです。
ついさっきも、いつものように
「ウチは全席喫煙です!」
…と店員さんから告げられ、女性客二人が
「じゃあいいです」
…と、Uターンして店を出ていきました。
「イマドキ
禁煙席がないトコ
ってあるんだ!?」
「信じられない…」
…などと小声でささやきながら去って行きます。
そんなすでに見慣れた光景──
「多数派が
少数派へと
転じる瞬間」
…を目の当たりにするたび、
ちょっとだけ胸の空く想いがします。
そう! ここはスモーカーにとって、
もはや絶滅寸前に近い
「オアシス」
…なのです。
モラルをカサに一般論なんぞ吐いてほしくない! ぼくたちは
「一杯630円」
という、決して安価ではないコーヒー代を払って、
嫌煙家の皆さまに迷惑のかからぬよう気遣い、
「愛煙できるスポット」
…を日夜遮二無二探し求めているのだから…。
現代社会における「少数派」が占める場所であるせいか、
ここ『ル◯アール』には、
クセの強い客が集まりやすかったりもします。
30分ほど前から
「自分がいかに
デキるヤツなのか」
…を派手めな若い女性に向かって延々と自慢げに吹聴している
「黒光りした肌と、
きれいに刈り上げた側頭部が
いかにも半グレ系な男」
…が、斜め前のテーブル席を陣取り、大声で関西弁をまくし立てています。(※どういう関係なのかがさっぱり読めませんw)
ぼくのとなりには電話にリモート会議に…と、
まるで自社オフィスのごとく自由に振る舞っている
(保険会社に勤めているっぽい)
「40代後半あたりのおばさん」
…がノートパソコンと膨大な資料を
テーブルいっぱいに開いています。
もう3時間は居座っているのではないでしょうか?
注文なされていたアイスコーヒーは氷すら溶け切っていて、
「2時間で追加注文を
お願いしているのですが…
どうなさいますか?」
…と、店員さんが慇懃な口調で問いかける…。最近は、
「明らかに
マッチングアプリ
あたりで知り合った
初見の男女が
自己紹介をし合っている」
…光景も、よく目にします。ヘビーユーザーである
ぼくが言うのもなんですけど、
「しょっぱなから
こんなヤクザなスポットを
選ばなくても…」
…と思わなくはないのですが…(笑)?
もちろんのこと、こういうお客さんが
(たまたま)近くに来ると、ぼくは
「執筆に費やす集中力」
…を削がれてしまいます。
しかし、ぼくだって、もしかしたら
「パソコンのキーボードを打つ音」
…がデカすぎて、無自覚なうち
「他人様に迷惑を
かけてしまっている」
…のかもしれません。だから、そういうときは
「今日は運が悪かった…」
…と諦めます。そして、あと一歩
ポジティブな思考へと歩み寄り、
「彼ら彼女らを
ネタにして、
今日も一本…
無事このコラムを
書きあげることが
できました!」
…と、神に感謝するのでありました。
おしまい!