Vol.415 ハプバーと「イジリ」
とある女性向けWEBメディアが、
「他人をイジる」
…という行為に対して、いささかの警鐘を鳴らす旨の記事を配信しておりました。著者さんは「イジリ」が一種の文化として定着している感のある関西の出身で、冒頭では
私は関西出身なので、お笑い文化が身近にあり、小さな頃からイジリ慣れをしております。
そしてもちろんイジられ慣れもしているのですが、最近「これはちょっと高度な文化なのかもな」と思いはじめました。というのも、イジリは一歩間違うと “大事故” になるからです。
…との問題提起がなされています。一体全体どういうことなのか?
とりあえずは、著者さんが述べる、その「高度さ」の根拠を以下に要約してみましょう。
イジリと似た言葉に、イジメがあります。というか、「そもそも同じでしょ?」と思う方もいるかもしれません。でも全然違うんです。
じゃあ、どこが違うのかというと、相手に得があるかないか。この一言に尽きます。イジリ文化が成立するためには、イジられた人間がその場でもっとも得する必要があるんです。
その人の可愛らしさや面白さ、優しい一面や人間味あふれる部分などを笑いを交えて引きだせる、それがイジリなんですね。
「まさにおっしゃるとおり!」
…だと、心底から首(こうべ)を垂れました。ちなみに、ぼくはどちらかと言えば
「イジられやすい」
…タイプのキャラで…たとえ年下であっても、
それなりにこなれた関係になったら、どんどんと
「Gジィさんイジリ」
…をやってきます。
もうぼくもいいアダルトゆえ、
「イジられているうちが華」
…と割り切り、たいがいはニコニコと受け流してはいるものの、なかにはつい
「ムッ!」
…としてしまうフライング気味なイジリもなくはありません。
ましてや
「(イジられることによって)
ぼくが得をしました」
…ってイジリに出会うケースは……正直、滅多にありません。
たとえば、ぼくが友人男性のSクンと一緒にここ『アグリーアブル』のカウンター席に座り、そこで女性二人組と知り合えたとしましょう。そして、こんな会話が交わされたとします。
女性A:それにしてもGジィさんさんって、全然アラカンに見えないんですけど〜!
Gジィさん:そうかなぁ…(まんざらでもない様子で)。
女性B:40代とかでも絶対とおりますよ〜!
Gジィさん:マジか!? んじゃ、今日は49歳ってことで(笑)。
女性A:もうダメですよ〜(笑)! ホントの年齢、聞いちゃってるから。
Sクン:それにGジィさん、最近カラダもあちこちガタがきてるもんね(笑)。
女性B:え〜!? めっちゃ健康そうじゃん!
Sクン:だってホラ……Gジィさんって奥歯は全部入れ歯だし!
女性A・B:うっそぉ〜〜〜!?(爆笑)
仮に、ぼくが彼女ら二人と、単なる和やかな関係をキープしたいだけなのだとしたら、このSクンが発した
「Gジィさんって入れ歯だし!」
…というツッコミは、結果として爆笑だったので
「ナイスなイジリ」
…ってことになります。そこでぼくも
「じつはぁ〜」
…と小ボケをかましながら、すかさずパカっと
(部分)入れ歯を外し、よりいっそうの大爆笑を誘うためのサービス精神を発揮します。
しかし、これがもし、ぼくがどちらかの女性と本気で
「もっと親密な
関係になりたい!」
…との下心を抱いていたとすれば…そのSクンのツッコミは、ぼくを貶める誹謗中傷のたぐい以外の何物でもない、イコール
「バッドなイジリ」
…にしか捉えられず、
「入れ歯のことは
内緒にしておくつもり
だったのにぃ〜!」
…と、ぼくは彼のことを(たぶん)
一生恨み続けることでしょう。
そう!
「イジリが真に
相手の得になるか
どうか?」
…のジャッジは、じつにデリケートなシロモノであって、そこに100%の確信がなければ…
「下手に
イジらないほうが
よっぽどマシ!」
…なのです。