Vol.24 心地良い「会話のキャッチボール」
お笑いコンビ『メイプル超合金』のカズレーザーさんが、自身のYouTubeチャンネルで「楽しい会話」の極意について語っていました。
視聴者からの悩み相談に応える企画で、女子大学生から
「会話をすることが苦手で、彼氏の高尚な話について行けず困っている。読書をはじめたが、彼に追いつくのは難しい。知識量の差がある場合、どのように話を広げていけばいいでしょうか?」
…との質問が。すると、カズレーザーさんは
「あなたが会話が苦手なんじゃなくて、彼氏がそもそも会話下手なんじゃないですか?」
…と、バッサリ。さらには
「この方が哲学や政治、法律とかを(あなたが)知らないのに、その話をしてくる時点で会話が下手でしょうね。会話っていうのは、相手がキャッチしやすいボールを投げるっていうこと。相手にもキャッチしやすいボールを投げてもらうってことなんでね。相手が捕れない嫌らしいコースに投げるヤツとキャッチボールしても面白くないですから」
…とのフォローも。
この「会話のキャッチボール理論」、まったくもってそのとおりだと、ぼくも思います。また無論のこと、ここ“ハプバー”においても十分に活用可能な教則でもあります。
これが「哲学や政治、法律」とかの、相談者曰くの「高尚な話」ではなく、仮に「地下アイドル」だとか「アニメ」…だとかの話題に終始しがちなヒトだったらどうなのか?
「オタク」の一言で片付けられ、同じ趣味を持つヒト以外は近寄りもしないでしょう。例えるなら、グローブの付け方すら怪しい野球ド素人のギャルに140キロ級の豪速球にシンカーやフォークを混ぜて投げるようなもの──もはや、それは“対話”ではなく、“イジメ”と呼んでかまいません。相手の知識量や興味のツボを、最初の“雑談”の段階でなるべく的確に読み取り、自身の会話のレベルやベクトルを速やかにさりげなく、その“解析結果”へと向けて微調整(あるいは、大幅な調整)を行うことこそが、会話上手になるための不可欠なスキルなのです。
いっぽうで、“聞き上手”になるための修練も、できれば日々積み重ねておくに越したことはない…とも、ぼくは考えます。
我が愛する阪神タイガースに梅野隆太郎というキャッチャーがいます。「梅ちゃんバズーカ」の異名をとる肩の良さも魅力ですが、捕球技術への評価がとにかく高い! ピッチャーの投球を後ろに逸らさない「ブロッキング」はチーム内からの信頼も厚く、ワンバウンドの投球に対しては、体で止めることよりミットで捕ることを心がけており、バックハンド(逆シングル)での捕球を多用する「梅ちゃんウォール」は、もはや「日本球界一」と呼んでも差し支えない、神業とも言えましょう。
では、この「梅ちゃんウォール」から我々はなにを学ぶべきなのか?
カズレーザーさんが申すところの「会話下手」なヒトがポンポンと放(ほお)ってくる“悪球”を梅本捕手よろしく、ことごとくキャッチできる“技術”を取得できれば、会話を“受ける”のはもちろんのこと、“投げる”場合でも、よりいっそうの幅を持たせることができる──そして、そのための「修練」とは、あらゆる分野の知識を、せめて相槌を打てるくらいには頭に詰め込んでおくことしかないのかもしれません。
たま〜にぼくは「今、適当に相槌入れたでしょ!」と相手に指摘されるケースもあるんですけど、そこを見破られるってことは、“会話の達人”としてまだまだ甘いってことですね(笑)。
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