Vol.95 会話を始めるひとつ前の段階から意識する
キャスター兼タレントのホラン千秋さんが、またまたとある老舗系女性誌のインタビュー記事で、ご自身のポリシーを存分に語り尽くしており、それがじつに素晴らしい内容だったので、今日もまたさっそく紹介してみましょう。
自分の幸せが相手の幸せとは限らないから、自分基準で決めつけず、相手の幸せも尊重できる人でありたいと思っています。
例えば結婚に関する質問も、つい「結婚したい前提」で対話をしがちかもしれませんが、そもそも相手の望むライフスタイルはそうじゃないかもしれない。
無意識に価値観を相手に押し付けてしまわないように、会話を始めるひとつ前の段階から意識することを心がけています。
「相手の幸せも尊重できる人でありたいと思っています」で〆る冒頭文は、まさしく絵に描いたような“優等生的発言”といった感じですが、
「会話を始めるひとつ前の段階から意識することを心がけています」
……とのくだりは、じつに得心がいく、もはや“格言”の境地であり、しかも明日からでもすぐ真似したくなる、実用的な「心がけ」だと、ぼくは感動しました。
たとえば、“ハプバー”のカウンターでウォッカトニックをチビチビやっているぼくの隣の席に、一人の女性が「ここ、空いてますか?」とやってきたとする。そこでぼくは、とりあえず「はじめまして…」と挨拶の言葉くらいはかけるのが礼儀ではありましょう。だけど、
「キミはどんなエッチがヤリたいの?」
「スカしていても、もうパンティはグチョグチョなんでしょ?」
…みたく「ハプバーに来る女性は誰でもいいからセックスしたがっている」と言わんばかりに、初っ端からたたみかけるかのごとく“ソレ”を前提とした質問を浴びせまくるのは禁物!
もしかすると、彼女は「近視だからぼくの容姿をすぐそばでチェックしたかっただけ」だった可能性だってあるし、「ハプバーははじめてなので、まずは一番俯瞰で店内を眺めてみたいだけで、その“俯瞰で店内を眺める”のに一番適した場所がたまたまぼくの隣の席だった」可能性だってある。「会話を始めるひとつ前の段階から意識する」っていうのは、とどのつまりが
「楽観的な思いつきのみに囚われず、あらゆる可能性を張り巡らせる想像力を育む」
…ということなのです。
ちなみに、ホランさんがなにかのトークバラエティ番組で「男に求める27の条件」を語っていた際、そのうちの一つに「落ち着いている人」といった“ありきたり”な条件を挙げながらも、“注釈”として「思考がちゃんと成熟している人」という、曖昧なイメージを具現化する“追加解説”を付け足していました。
結局のところ、ホラン千秋さんは
「ド正論を独自の目線で、より具体的なかたちに再構築する能録」
…能力に長けているわけで、いずれにせよ、ぼくはじわじわとそんなホラン千秋さんの“マニア”となりはじめているのかもしれません。