Vol.157 男女別型の「恋愛マニュアル」はもはや通用しない?
なぜか自宅の本棚の片隅にあった、「DJあおい」というペンネームを持つ謎の主婦が「男と女の違い」をテーマにまとめた著書
『ていうか、男は「好きだよ」と
嘘をつき、女は「嫌い」と
嘘をつくんです。』(幻冬舎)
……が、偶然目についたので、気まぐれにサクッと読んでみました。
多くの“自称「恋愛に一過言ある女性」によって書かれた
「なぜそういう結論に到るのか?」についての解説が、たとえば
「キスする前にはなるべく歯を磨きましょう
=歯を磨かない→口臭がきつくなる
→男子に嫌われる」
…程度のチンケなシロモノでしかないのに比べ、このヒトのロジックはとても冷静で深く、しかもポエジーだったりも…。たとえば、こんなことが書いてありました。
怠慢で浮気するのが、男。不満で浮気するのが、女。
男性の場合は、女性からちゃんと愛されているときの気の緩みから浮気するケースが多いんです。この場合、女性はちゃんと愛しているわけですから、男性のことを観察しています。なので、男性の浮気はすぐにバレるわけです。
一方、女性の場合は、男性に愛されていない不満から浮気するケースが多いんですね。(中略)つまり、男性から関心を寄せられないときに浮気する傾向があるんです。だから。女性の浮気はバレにくいというわけなんですね。ただ、それだけのことなんです。
たしかに! よく新婚の男性から「どーいうわけか、結婚してからやたらモテるんだよね」みたいなセリフを聞かされることがありますが、コレは妻に(まだ)愛されている、戻るところがあるという安心感が、結果として
「鳴かぬなら、別にいいよホトトギス」
…的な“余裕ある態度”の土台となるからにほかならず、こういった
疑似モテ期に凸入した男性は、ワキがバンザイ乗車並みに甘甘の全開となって、すんなり浮気相手とのLINEのやりとりなんかを押さえられ、あっという間に確変が終了してしまうのです。
そして、仮に運良く(?)確変タイムが大連チャンしちゃった場合、妻は高い確率で浮気に走り、その“不審な動き”に男がようやく気づいたころは、もう時すでに遅しで「浮気が本気」と成り果て、猛烈な独占欲に駆り立てられた男は、土下座を繰り返したり探偵を雇ったり…と、大ごとに発展していくのであります。なんてシャープな読みなんだ、DJあおいセンセイっ! まさに身の毛もよだつ大予言ではありませんか!?
ところが! 最近、ぼくのまわりには、DJあおいさんが指摘する“傾向”の逆パターンの夫婦が意外と増えてきていたりも…? すなわち
「男性が女性に愛されていない
という不満から浮気するケース」
…ですね。
たとえば、男性はサラリーマン。女性が、まあ新人のライターだとかスタイリストだとか、そんな感じのいわゆる「時間が不規則でなんとなく楽しそう仕事」だとしましょう。
新人なだけに妻は仕事に一所懸命で、夫は妻の頑張りを
精一杯理解しようと努力する…。もちろん妻の帰宅時間はバラバラで、日によっては夫が自宅で独りぼっち、下手すりゃ妻が朝帰りということも珍しくない…となれば、どうなるのか? いくら妻が天地神明に誓って「浮気はしていない!」としても、男性は女性の
「自分より充実していそうな毎日」
…に嫉妬を抱き、浮気に走ってしまうわけです。
あらゆる環境において、ジェンダーレスな風潮が主流を占めはじめている昨今、どんなに完璧な恋愛アドバイスにだって、
“例外”の比率はもはや過半数を超えてしまっているのかもしれません。