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予告
 

Vol.215 蛭子能収と人生相談

先日、ぼくはここに、

 

「あまりに浮世離れしすぎた出で立ち(いでたち)と言動がすでに社会認知されている人物が語る一言一句には、仮にそれがどんなに凡庸なロジックであっても、異次元的なオーラが宿るのかもしれません」

 

…と、叶姉妹「天上人(てんじょうびと)目線」な人生相談を称賛する旨のコラムを寄稿したばかりですが、日本人生相談界の両巨頭として叶姉妹に並ぶ、もう一人のカリスマを忘れてはなりません。

 

そう! 2020年7月に自身の認知症を公表しながらも、悩める市井の民の声に耳を傾け続けるタレント兼漫画家の蛭子能収さん(74)

であります。とりあえずは、ネット版の『女性自身』が定期的に配信している『蛭子能収のゆるゆる相談室』にあった、以下のようなやりとりに目を通してみましょう。

 

Q.恋人がいない自分は人間として未熟ではないか…と。仕事はけっこうバリバリやっているほうだと思いますし、稼ぎも同世代ではいいほうです。でも恋人がいないのがけっこうなコンプレックス。どうすれば彼女ができるの?(24歳:男性)

 

A.蛭子「オレが長崎にいたときに通っていたパチンコ店に大谷直子と辺見マリを合わせたような女性店員がいて、いつもそのコが担当している“島”(※=台が並んでいるエリア)ばかりで打っていました。玉がくぎに引っ掛かると彼女と話せるチャンスが増えますからね」

 

「でも、そんなよこしまな考えがあると彼女はできないし、パチンコも勝てないですからね」

 

「この人も、今は仕事をどんどんやっていればいいんですよ。オレだって結婚しているんだし、知らない間に彼女もできると思いますよ」

 

「あと女性は思いのほかギャンブルする男が嫌いみたいです。あるとき女房に『私とギャンブルどっちが好き?』と聞かれて、うーんと悩んでいたら、すごく怒られたことがあります。そんな女心がわかるようになれば大丈夫です」

 

ひと言で言ってしまえば、

 

「なにを言いたいのか

さっぱりわからない」

 

認知症以前からの相変わらずな飛ばしっぷり。しかし、この

一見だと「なんの役にも立たなそう」な回答には、

 

「要点をズラすことによって、相談側の悩みの本質が霧散化され、最終的には悩んでいること自体がバカらしくなってしまう」

 

……という「人生相談」における究極の奥義が巧みに応用されているのです。

たとえば、「彼女ができません」といった悩みに対して、いきなり

 

「じゃあ婚活アプリをやりなさい!」

 

…みたいなストレートな解決法を与えるのではなく、大谷直子と辺見マリを合わせたようなパチンコ屋の女性店員」といった絶妙なラインの、まったく別の方向から、まるでメキシカンボクサーのトリッキーなパンチのごとくガツンと攻めることによって相手をケムに巻く、じつにハイブロウな手法なのです。

 

ただ、誰がコレをやってもマエストロになれるほど人生相談界は甘くありません。蛭子サンならではのひとでなし感──ポジティブな表現に変えれば

 

「神に近い孤高の存在感」

 

…無くしては、単なる酔っぱらいの戯言として片付けられてしまうのがオチ…。たとえば、ここ“ハプバー”で同じような悩みを相談された場合でも、中途半端に蛭子イズムをフレイバーしたところで、頭のおかしいヒトと勘違いされるだけで、今後の展開にも悪影響を及ぼすだけ──とどのつまりが、そういう場合は「うんうん」とニコニコ頷きながら、聞き役に徹した風を装うのが

一番…ということです。

 

結論を申せば、叶姉妹と同様、選ばれた者のみに許される

 

「天上人(てんじょうびと)目線」

 

…こそが、蛭子サンの暴言に、よりいっそうの滋味をもたらしている…のかもしれません。一度、

 

「ハプバーで全然女の子と

深い仲になれないのですが、

ぼくになにか

問題があるのでしょうか?」

 

…とでも質問してみたいものです(笑)。