Vol.219 国道134号 – ハプニングバー  agreeable アグリーアブル

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Vol.219 国道134号

バブル前夜に青春を過ごした、ご年輩気味な“ハプバー”マニアのアナタは

 

「134号」

 

…と聞いて、どんなイメージを頭に想い描くことができるでしょう?  

 

「134号」──正確には「日本の一般国道134号」のことであります。神奈川県内で完結する道路で、横須賀・三浦・逗子・鎌倉・茅ヶ崎など、三浦半島および湘南海岸に沿って走るルートとして有名です。

 

「海岸に沿って走る」

 

…ということは、イコール

 

「景色がとてもキレイ」

 

…なわけで、現在でも日本で5本の指には入るであろう、絶好の

デートスポット、ドライブコースとされています。また、あのころは内陸部の道路整備がまだ不十分で、渋滞が名物となっていたルートでもありました。

 

とくに7~8月は、休日じゃなくても

1時間の走行距離が10mみたいなこともザラだったり…。カーナビやGoogleマップで裏道や渋滞情報をそれなりに調べることができる今の時代なら、ある程度は対応も可能でしょう。最悪「今日は混んでそうだから別の場所に行こうか」という選択だってできる。しかし、カーナビなんて『スターウォーズ』レベルのファンタジックなメカでしかなかった80年代の若者たちは、冊子の道路マップとおぼろげな記憶とアテにならない方向感覚だけを頼りに、あえてオンシーズンの134号へと真っ向から挑んでいたのです。

 

いったい全体、134号のなにが、当時の若者たちのハートを熱く駆り立てていたのか?  

一つには、たった約60kmしかないのに

 

「海と古都を同時に満喫できる」

 

…という、日帰りドライブにベストな距離感があります。寺院とオシャレなショップが乱立する鎌倉を抜けたら、そこはすぐ

湘南――。おそらく日本中探しても、ここまで都合のいい

デートコースはそうないはず…。いうなれば神戸と京都を一日で攻めるようなもので、当然のことながら関西人にとって、そのプランは

無謀で非現実的でしかありません。

 

もう一つ心当たるのは、あのサザンオールスターズの影響です。

 

『希望の轍』で134号を示唆する「エボシライン」を世に知らしめたのは90年代の話ですが、80年代初頭からすでに

「日本語を英語風に歌う手法」で湘南の風を日本中に吹かせ、サザンは自らの地元を全国区の憧れのスポットへとのし上げたので

あります。

 

多くの中流階級にとって、そんな「憧れのスポット」をドライブする憧れのクルマはファミリアとシティ。ちょっとだけお坊っちゃんならゴルフ四角いクルマが圧倒的な人気で、なぜか赤色がやたら好まれておりました。

その上にサーフボードを乗っけたら完璧。信じられないことに、サーフィンをやったこともないのに、アクセサリーとしてボードを車上に飾っていた輩も少なからず実在した──たとえ「丘」だろうが、サーファーとして134号を流すことに重要な意味、ステイタスがあったのです。

 

そして、車内にマストだった三種の神器が

 

「カーステ」

「缶ジュースホルダー」

「なるべくでっかいスピーカー」

 

ダブルカセットのコンポでしこしこと編集した

「マイテープ」が奏でる音源を、となりに座る愛しの彼女に披露する二人だけの密室空間…。

それこそがクルマを保有することのモチベーションであり、アイデンティティーですらありました。

 

赤くて四角いクルマに、シチュエーションに応じてめまぐるしく微調整されるBGMのボリュームを精密に再生してくれるカーステ&スピーカー、それにクーラーできんきんに冷えた缶ジュースや缶コーヒーがあれば、渋滞なんか怖くない。「マイテープ」の出来と本数次第では、

むしろ味方にさえできる。とっておきの一曲は勝負のときにちゃんと残しておいたりもして…。  

 

やがて静かな海岸に愛車を停め、バックに『愛しのエリー』がさり気ない音量で流れたら、シートを倒して××(←「チョメチョメ」と読む)…。しかし、そんな理想のタイムスケジュールを完遂できた者は、意外に少なかったとも聞きます。

 

「行きは天国

帰りは渋滞で無言地獄」

 

…ってヤツですな(笑)。

 

ちなみに、国道134号の平塚~大磯間約3.2km区間は、平成27年に4車線で完成供用し、藤沢市の江の島入口から大磯町の西湘バイパスまでの約15kmが4車線でつながりました。交通状況が大幅に改善され、昨今では渋滞も大幅に緩和された…と聞きます。我々世代としては

チョッピリ寂しい話なのではありますが…?