Vol.339 「オヤジギャル」と「オジサン女子」
とあるコンサバ系の女性ファッション誌が運営するWEBメディアが
「身近にいるかも…
急増する“オジサン女子”の生態」
…なるタイトルの記事を配信しておりました。
読んで字のごとく
「オバサンを通り越して
オジサン化している女子」
…のことを指し、同メディアの観察によると、たとえば
・指毛ボーボー女子
(ネイルはきちんと仕上げてるのに指毛がボーボー生えている女子)
・つまみ必須女子
(営業回りから社内に帰ってきて、ノンアルコールビールやスルメイカを飲み食いしながら「くぅ〜! たまらん」などと感極まる女子)
・野球ヤジり女子
(仕事中、PCで野球を観ながら「いてまえ!」とか「ポンコツ野郎だな!」とか…とヤジっている女子)
・開き直り女子
(「ゴメン。私、おっさんだから」と開き直り、人前で「バフー!!」とオナラをしたりする女子)
…みたいな女子が昨今増加している…のだそう。
人前で平気で音付きの放屁をしてしまうようなヒトのことを「オジサン」で一括りにしてしまうのも、
「一種の男女差別なのでは?」
…って気もしなくはありませんが(笑)、まあそこらへんは良しとして、「オジサン女子」という造語を聞いてまず頭に浮かんだのが、バブル期にバブリーなネエチャンのあいだで
トレンディーと、もてはやされた
「オヤジギャル」
…ってヤツです。
「オヤジギャル」とは、
男女雇用機会均等法が浸透しつつあるなか、アフター5は居酒屋か赤ちょうちん、休日はゴルフか競馬、駅のホームでドリンク剤をゴクゴク飲んでは、喫茶店でスポーツ新聞を読み漁る…みたいな(当時の)中年サラリーマンの日常をなぞる若い女性(※ちなみに、このころは「若い女性」全般のことを「ギャル」と称していました。今で言う「女子」とほぼ同義語)
…のことを指します。
「働く女性はかっこいい
→OLのオヤジ化はナウい」
といった主張を体現するスタイルであり、
1990年には新語・流行語大賞の新語部門で銅賞までも
受賞したと言います。
さて。そんな「オヤジギャル」と比較して、前出の「オジサン女子」は、パワーワードという観点からすれば、やや……どころか、かなりインパクトに欠ける印象は否めません。
しかし、その「弱すぎ」な感じが、今の時代の
「中年男性化していく女性」
…にマッチしていて、ネーミングの按配(あんばい)としては、逆に絶妙なのではないか…と、ぼくは評価したい。
バブル期の女性は、まだ根強く残っていた男尊女卑の風潮に対抗するため、積極的に自身を「オヤジ化」していきました。
いっぽう、現在の(一部の)女性の「オジサン化」は、「女子力」という、時におしつけがましくもある概念をみずから放棄しただけの消極的な姿勢から来ています。いわば、
前者は足し算的で
後者は引き算的
──つまり、「オジサン女子」は単なる「オヤジギャル」の
焼き直しではなく、じつは
似て非なるもの
…なのです。そして、ぼくは個人的に、そういうオジサンな女子が増えること自体は、決して悪くないと思っています。
ここ『アグリーアブル』のカウンター席で、
音付きの放屁をブーブーする
指毛ボーボーの女性
…と対面してしまったら…さすがに
申告敬遠
…してしまいそうではありますが…(笑)?