Vol.377 【ハプバー会話術】「ドS」を自称する毒舌人間の愚かさ
とある女子向けの恋愛系Webメディアが
『「俺Sだからさ!」と
サド気質を自称する男の本性は
ただ悪口を連発したいだけ』
…みたいな啓蒙を促す内容の記事を配信おりました。とりあえず、その実例として挙げられている某主婦の談話のおおよそは以下のとおりでありました。
飲み会で友人に紹介してもらった男性と初めて2人で出かけたときの話です。
私を見るなり彼は「芸能人の◯◯意識してる? 完璧やん! 顔以外は!」と、こちらの容姿と服装をイジってきました。
とても驚きましたが、そういえば前回の飲み会でもみんなをイジって笑いを誘っていたなと思い、受け流すことに…。
しかし彼の言動はどんどんエスカレートしていき、失礼過ぎて笑えないことを正直に言うと「よく言われるけどオレSやねん! それにそんなんで傷ついていたら人生乗り切られんで!」と言ってきたのです。
自称Sはタチが悪いなと思い、その後2度と会いませんでした。
そして、これら一連のエピソードに対して同記事の筆者は、
相手の容姿をいじるのはSでもなんでもなく、単にデリカシーに欠けた行動だと思います。失礼な発言を注意したときに開き直るような男性なら、改善はなかなか難しいかも。距離を置くのが一番かもしれませんね。
……と、まとめています。
「主婦」の女性が「飲み会で友人に紹介してもらった男性と初めて2人で出かけたときの話」って、どんな流れを経たシチュエーションやねん…と、少々好奇心を掻き立てられましが、まあそこは今回のメインテーマではないので、これ以上深掘りするのはやめておきましょう(笑)。
たしかにいますよね〜〜〜〜〜? 男女問わず
「オレ、Sだから」
「アタシ、ドSなんで」
…の一言を、黄門様の印籠よろしく免罪符として振りかざし、その「お断り」を盾に毒舌をまくし立てるヒトって。
「(ド)S」
…なる(一見)便利なワードにすべての責任を転嫁し、
「自分は(ド)Sなんだから
しょうがないじゃん!」
…といった強引傲慢なロジックに寄り添うことで、完全に自己完結──思考停止しちゃっているわけです。
最高に頭の悪いセリフであり、
もっとも友だちにはしたくないタイプの人種であります。
そもそも、ぼくは飲みの席などで安易に
「(ド)S」
「(ド)M」
…という単語を乱発し、大はしゃぎしているようなヒトたち自体が、あまり好きじゃありません。
本来、健全な人間は
「サドっ気」と「マゾっ気」を共有
…しているもので、たとえばS度が75%のヒトはM度も75%、S度が5%のヒトはM度も5%…と、むしろ振り幅に個人差が生じるわけであり、ぼくはこれを
「SM振り子の法則」
…と呼んでいます。同法則に関しては、かなり最初のころにここのコラムにも書いているのですが、もう一度詳細を述べると、
「そもそも100%サド、100%マゾなんて人間は、心療内科的な見地からしても完璧な精神異常者で、健常な人間なら必ずサドとマゾ、両方の資質を兼ね備えているもの──サド気質をX%持つ人間はマゾ気質もX%秘めている──サドっ気の強い人間はマゾっ気も同じだけ強く、弱ければ同じだけ弱い。スポットをあてるべきなのは『どちらに属するか』じゃなく、S〜M間の『振り幅の大小』である」
…といったロジックであり、
「S orM」
…といった二択で語れるような単純な摂理ではないのです。
だから、ぼくはこの手のインテリジェンスが皆無な会話にやむを得ず巻き込まれてしまった場合は、
「ボクはドNです」
…と、答えることにしています。
「N」とは「ナチュラル」……ではなく
「ニュートラル」
…のこと──つまり、
「自分のマインドを
常に中庸的な状態にしておき、
相手の(その瞬間瞬間に滲み出てくる)
Sっ気・Mっ気に
自分の振り先と幅を合わせる」
…という発想で、もうちょっと噛み砕いた表現をするならば、
「ボクは、いつでもアナタ色に染まります」
「アナタの変態指数がボクの変態指数です」
「ただ、アナタの喜ぶ姿だけが見たいから!」(武田鉄矢調に)
…ってことなのです。たいがいは引かれるか、「ドM」と聞き間違えられスルーされてしまうんですけどね…(笑)。
いずれにせよ、ここ『アグリーアブル』のカウンター席でも、
もし万が一「オレ、Sだから」「アタシ、ドSなんで」ってな感じのセリフを慣用句(?)のごとく安直に会話へと差し込んでから、ぐいぐいと毒付いてくるようなヒトと出会ってしまったなら…
「それ以上の親密な関係になるのは
避けたほうが無難ですよ〜」
…とアドバイスしておきましょう。このような自己完結・思考停止は、必ずパフォーマンスの面にも影響を及ぼすものであり、
仮にアナタが
「今日はドMな気分…」
…であっても、至極稚拙な言葉責めや、
力の加減がわかっていないスパンキングなどで終始してしまう可能性がかなり高いと予測されます。
あと、念のため! 前出の記事に登場する
「自称(ド)S男」は、明らかなる関西弁を使用していますが、コレでこういった阿呆な男は
「関西人に多い」
…と思い込むのだけはやめていただきたい!
「最高に頭の悪い人間」はどこにでも一定数生息しているわけであって、その分布図に地域差はないのですから。